美しいだけに危うさも… 森麻季  アヴェ・マリア [芸術]

さて、久方ぶりにCDの感想でも書きましょう。

今回は森麻季、「AVE MARIA」です。

プロテスタントには、マリア崇拝っていうのがないからほとんどの人は知らないんだけど、

カトリックにはマリア崇拝っていうのがあるんです。

やっぱり、昔の人は直接神様や、イエス様に願い事をするのは、不謹慎で

畏れ多いことだと思っていたみたい。

今だって、直接オトーサンに「金くれよ!」なんて頼みにくいじゃない。

それより、オカーサンに「とーちゃんに金がいるって、かぁちゃんから頼んでみてくれよ!」

っていうじゃないですか。

ま~、それと似たような感じで、神様と人間の間に入るとりなしの存在として

大いに信仰を集めたのですよ。

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で、「おとめマリアの頌(これはわが日本聖公会の名称。カトリックは「天使祝詞」というらしいよ)」

というのがあって、

これは、天使ガブリエルがマリアに

イエスをみごもるときに言った言葉なんだけどね、

今もカトリックの人はこれを唱えるワケなのだ。

 

「めでたし 聖寵(せいちょう)充ち満てる(みちみてる)マリア、

主(しゅ)御身(おんみ)とともにまします。

御身は女のうちにて祝せられ、

御胎内(ごたいない)の御子(おんこ)イエズスも祝せられたもう。

天主の御母(おんはは)聖マリア、

罪人(つみびと)なるわれらのために、

今も臨終のときも祈りたまえ。アーメン。」

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話はだいぶ横にそれた…

これを歌にしたのが、アヴェ・マリアなのね。

アヴェ・マリア

アヴェ・マリア

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: avex CLASSICS
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: CD


 

森麻季さん、いいですねぇ~。

才色兼備です。容貌も美しくて、声も美しい。

この方、思春期の頃、ニッカウィスキーのCMで

「オンブラマイフ」を歌うキャスリーン・バトルの歌声に感動して

ソプラノ歌手を目指されたそうです。

キャスリーン・バトルは毀誉褒貶が多い方らしく、

「キレイな声だけど、声量がない」と言われ続けていたそうですが。

わたくしも、ニッカウィスキーの声にやられたクチなので、

なんだかそういう森さんのデビューのきっかけをうかがうと嬉しくなります。

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たしかに、ソプラノというのは難しい声の領域なのだと思うのですね。

高い声は訓練次第で誰でもある程度は出るものかな?とは思うのですが、

ともすると、声を出すことに専念するあまり、「ヒステリック」に聞こえるもんなんですよ。

私も、ある程度の年齢を重ねるまで「オペラなんてヒステリックなものだ」と偏見を重ねていましたが、

それは、ただ単にヘタクソな歌手の歌声しか聴いていなかったからなのですね。

上手い方はどんな高音でもヒアノで歌えるし、声に幅は出てるし、やわらかく響くものなのです。

ま、こういうソプラノ歌手が越せない問題を全てクリアしているひとりに

やはり、森さんは入ると思いますね。

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このアルバムは、古今東西の「アヴェ・マリア」ばかりを取り上げたものなのです。

こういうのは、だいぶ前から一定の潮流みたいなものがあるらしく、

カウンターテナーのスラヴァが歌っている「アヴェ・マリア」もすでに購入済みなのですが、

ave maria

ave maria

  • アーティスト: グノー
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 1995/11/22
  • メディア: CD


そうですねぇ~、まぁ、好き好きの問題だとは思いますが、

スラヴァはさすがに外国人だけあって、声量もあるんですが、

ちょっとドスが効きすぎているっていうか、軽みがないかな~。

それでも「カッシーニのアヴェ・マリア」なんて珍しい曲を普及させた

功労なんか計り知れないものがあるんですよね。

(大河ドラマの「平清盛」で使われていた 笑)

まぁ、だいたいこのスラヴァのラインナップにほぼ同じですので、オリジナリティーはないですが、

聴き比べてみても面白いかなとは思うのね。

 

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まぁ、それでも日本の作曲家の服部隆之のアヴェ・マリアも入っているし、

アヴェマリアじゃないけど、モーツァルトの「アヴェ・ヴェルム・コルプス」も入っているし。

結構、良心的かな~と。

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今回ですね、すご~~く感動したのが、

あの、秋山兄弟が非常に凛々しく美しかった司馬遼太郎の小説をドラマ化した

『坂の上の雲』のタイトルに使われていた『スタンド・アローン』です。

作曲はジブリでおなじみの久石譲。

自衛隊のアイドルの三宅ゆかりちゃんが歌っている分には

かわいいな~、上手ね~

で、ハイおわりなんですけどね。

マキさんが歌うと、非常に美しくて心に何かこう、凛としたものが

染み透って行くんですよ。

歌詞がまた、いいんです。

コレ、司馬さんの小説から採ったのかしらん?(作詞も久石さんだった…)

「凛として旅立つ、一朶(いちだ)の雲を目指し」

なんかね~、白い制服をピッと来た秋山好古が、

二百三高地に向かって馬上から最敬礼している図が脳裏によぎっちゃって。

なんかしらん、妙に感動しちゃうんだな~。

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でもね、一方でこういうのは非常~~~に危険。

昔、戦争中大本営が『海ゆかば』の曲をラジオで流ながら、

戦没者の名前を発表してたっていうじゃないですか。

上手いんですよ、軍部っでこういう演出が。

本当は、戦争は悲惨のひと言にしかすぎないというのにね。

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マキさんは別に戦争礼賛しているわけでもなんでもないだろうけど、

こういう類まれな才能が、悪用されるとコワイな~とちょっと思ったんでありました。


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