ぼうし [読書&映画]

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先般、「耳に残るは君の歌声」の記事を書いたので、

急にソレが聞きたくなってサントラ聞いていたら、

リチートラが「帰れソレントへ」を歌っていた。

これを聞くとまたまた思い出す本があるんですよね。

それはトミー・ウンゲラーの「ぼうし」

これは絵本なんです。

トミー・ウンゲラーって有名な絵本作家でこの「ぼうし」のほかにも

「すてきなさんにんぐみ」とか作っています。

この方、名前をみるとイギリス人?って気がしますが実はフランスの方。

トマ・アンゲレールと読むのかな?

フランスの作品って常々思うのですが、文学にしろ、映画にしろ

「知」の中に玉虫色のように「痴」の部分がチラチラと交錯するんですよね。

なんていうかイギリス人のように生真面目すぎない、気持ちの余裕がある。

自分の不幸を客観視して笑っていられるだけの冷静さがある、っていうかね。

 

 

それで、もともとこの人、イラストレーターから作家活動をスタートされていて

しかも、結構○な絵を憚りなく描いている人なんですよね。

で、なんていうのかな、ウマい絵なんだけど、決してかわいい絵でも、

親しみやすいわけでもないのね。

うん、子供に媚びてない。毅然としたところがあるんです。

 

でも、子供って意外とホンモノを見抜く目っていうものがあって、

オトナが「な~に?こんな本!」みたいな本が好きなものですわ。

この本も、ある意味とってもヨーロッパ的で退廃的なんですよね。

ある日、どこからかシルクハットが退役軍人であるベニト・バドグリオのはげ頭に

すっぽりと収まる。(名前がビスコンティのようだ)

途中、なんていうか「戦艦ポチョムキン」の乳母車の

パロディみたいなシーンもあるし、結構大人でも楽しめる。

それまでは、不運つづきだったベニトはあれよあれよという間に

幸運をつかみ、最後は美貌の公爵夫人(ぜんぜん絵は綺麗じゃなくて・・・それが笑える)

と結婚する。

ふたりはハネムーンに出発しようと天蓋なしの自動車に乗り込む。

(このとき二人は当時流行りのゴーグルをつけ、公爵夫人は

イサドラ・ダンカンよろしく首に長いショールを巻き付けている。

ほんっと、芸が細かいのよね)

そのとき、突然にぼうしはベニトの頭から離れて、風にとばされていってしまう。

あわてるベニトに我儘な公爵夫人はこうのたまう。

「アナタ、そんなぼうしなんて気にしないで。

 わたくし、早くサルディニアの日の出がみたいの」

どこへいってしまったのか・・・・・。神のみぞ知る。(絵本には神様だけがごぞんじ、とある)

私としては、ぼうしは座敷わらしと一緒で離れると、ベニトはまた

もとの不幸な退役軍人に戻っちゃうような気がするんだけど・・・。

そこまではまぁ、わからない。

これは、今はどうかわからないけど、アニメーション(いわゆる日本製のアニメではない)

になっていてヤマハから発売されていた。

高木均さんが、朗読をしておられて

そのBGMが件の「帰れソレントへ」だったというわけ。

子供なんてそれが好きでそれこそ、ヴィデオテープが擦り切れるほど

見ていたものです。

「帰れソレント」を聞くと、まだ若くて未熟な母親だったころの

わたくし自身が浮かびあがる。

そして、二度と戻ってこない昔が懐かしい・・・。

それにしても・・・・・今はヴィデオでもなくLDでもなく、DVDの時代も終わろうとして

BLですものね・・・・。本当に月日の経つのは早いですね。

まだ媒体を替わっても、発売していたらいいな、と思います。


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