色事師が見つけた真実の「愛」  ~ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い~ [読書&映画]

昨日は、ナンダカンダとハードな日々でした。image.jpg

昨日の夜中にMEでDELLの本体のみネットで購入しました。

5日ぐらいでつく模様。・・・・ところで

今日は、またちょっと濃い映画を紹介します。 

2009年 イタリア・スペイン合作  イタリア語・ドイツ語

タイトル ドン・ジョヴァンニ 天才劇作家とモーツァルトの出会い です[ぴかぴか(新しい)]

んん~、この映画、わたくしはヨーロッパらしい芸術至上主義ないい映画だと思います。

が、この映画はきっぱり好きな人と、嫌いな人の二つに分かれるように思います。

やっぱりこの映画も、ヨーロッパ特有の、というかフランス的な知と痴が、

あるいは聖と俗が交錯している映画だからです。

美しい俳優さんがすごく深遠でまじめなことを言っているのに、

つけているカツラがどうしようもなく、ふざけているしか思えない間抜けなものだったり・・・・。

笑えます。

まず、わたくしの目を惹いたのが、映像の美しさでした。

実にロマンティックで神秘的に撮られている。普段はわたくしは監督がだれ、脚本がだれ、とか

あんまりそんなことを気にする人間じゃないんだけど、

ヴィットリオ・ストラーロという人で、アカデミー賞撮影賞を何度も取った方です。

わたくしたちがよく知っている作品に<ラスト・エンペラー>がありますね。

01_3.jpg

さて、あらすじですが

このお話は有名なオペラ<ドン・ジョヴァンニ>にまつわるものなのですが、

いつも前面に押し出されているのは、モーツァルトがいかに天才であるか、ということと

モーツァルトと彼の父の葛藤ですが、今回は別の切り口で描いているのです。

このドン・ジョヴァンニを製作するにあたって、隠されたもう二人の力無くしては

この作品は世に出ることはなかったろう・・・・ということです。

その二人のなかのひとり、この映画の主人公であるロレンツィオ・ダ・ポンテ。

もうひとりは、稀代の女蕩しで「ドン・ジョヴァンニ」と並び称されるカサノヴァ。

ダ・ポンテもカサノヴァもふたりともヴェネツィア出身で、実は改宗ユダヤ人だった。

ダ・ポンテは改宗前はエマヌエーレ・コネリャーノといいました。

日本人のわたくしなどはエマヌエーレなんて「救世主」っていうな意味なんだし

これで充分間に合ってるでないの・・・・・なんて簡単に考えてしまうのですが、

そうはいかないのがヨーロッパのキリスト教社会。

とりあえず、このエマヌエーレはいざ、洗礼という段になったとき、

自分のユダヤ人としてのアイデンティティを強制的に破壊されるのがイヤだった。

思わず彼は礼拝堂から逃げ、神父の控え室へ逃げ込む。

そこには、一冊の大きな本があり、その挿絵には実に魅力的な、

この世の女とも思えぬ聖女が描かれていた。

思わずわれを忘れてエマヌエーレが覗き込んでいると、

神父がそっと彼のもとにきてこうささやく。

「どうだ?美しいだろう・・・。これはダンテの神曲に出てくる聖女ベアトリーチェだ。

 おまえも正しい信仰に帰依するというなら、今後この部屋の書物を特別に閲覧する

 許可を与えてやろう・・・・・」

こうして、エマヌエーレは神父の苗字をもらって、ロレンツォ・ダ・ポンテとなり、

その聡明さゆえに、自らも神父として生きることになった。

ただしロレンツォは、聡明なばかりでなく、たぎるような情熱もあったので

放埓な恋もいくつも重ねるのです。

しかし、熱い情事もなぜか彼に心の満足を与えてくれない。

そんなとき、カジノで出会った老人に手持ちのお金を恵んだとき、

その老人は目ざとくロレンツォがひそかに隠し持っていた五芒星 を見つける。

「あなたもユダヤ人だったのですね。それならば、話は別です。

 あなたに私の命より大事な娘を差し上げます。

 でも、一旦引き受けたからには、娘を大切にしてかわいがってください」

annnetta.jpg

興味をそそられ、出かけてみると

天蓋のかかったベッドに娘がこちらに顔を背けて眠っていた。

しかし、次の瞬間こちらに顔を向け、閉じた目を開けると

それは、いつぞや少年の日に見たベアトリーチェそっくりの美女が・・・・!

と、書けばきりがないほど長い話なのですが、

要するに、ロレンツォはこの美女(アンネッタ)に向けるプラトニックな愛を

ドン・ジョヴァンニに託すわけです。

これまでウィーンの宮廷は性的なお話はご法度で、ほのめかしですらタブーだったため

この「ドン・ジョヴァンニ」という題材すら疑問視されていたのですが、

カサノヴァは

「性的な問題はむしろ崇高でさえあるものだ。それを悪いものとみなすのは

偏狭なカトリシズムのもたらすもの。われらは果敢にこの問題に対峙しようではないか」

と檄をとばすのです。

82277_201004102106067730_2.jpg

カサノヴァはここでは、破廉恥な漁色家というり、

どっちかといえば旧約聖書に出てくる偉大な知恵を隠し持つソロモンのような

賢者というポジションです。

面白いのは、オペラの主人公のドン・ジョヴァンニはダ・ポンテにとっての分身ともいえる

存在だったのですが、ダ・ポンテが物語を作っているうちに、分身であるドン・ジョヴァンニが

ダ・ポンテの身代わりになって滅び、

そのおかげで、ダ・ポンテは命をとりとめ、

不滅の愛に生きることができたということなのですね。

gallery_img02p.jpg

その逆に、モーツァルトは死んでしまうことになってしまうのですが・・・・・・。

イタリアの俳優さんばかり出演されていますが、

とても魅力的。特にダ・ポンテを演じておられた俳優さんは

ミステリアスな魅力があって、場合によっては、天使のように清らかにも

悪魔のように醜くも見えたりするのが

不思議でした。そして声がとても甘くて美しいんですね。低くて。

ほとんどイタリア語なんですが、イタリア語ってゆっくり話すと

本当に音楽的です。

ロココ的ファッションがとても可憐なのですが、

フランスではなく、イタリアっていうのが

また、どう説明していいのか・・・

例えていえば、サン・ルイやバカラ的造形美ではなく、

ヴェネツィアン・ガラス的な装飾というか

まぁ、イタリア的でとてもいい映画だと思いました。

もちろん、オペラが題材ですので音楽的にも美しいことはいうまでもありません。


nice!(1)  コメント(1)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 1

sadafusa

月乃さま
 niceありがとうございます。

by sadafusa (2012-02-26 19:37) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。