Six o'clock の功罪 [ちょっとした考察]
先日、朝日新聞の広告を眺めておりますと、
大阪でウエスト・サイド・ストーリーのミュージカルがありました。
んん・・・・と脚の角度が気になる。
昔、映画のジョージ・チャキリス様が踊っていたころと違いますね~。
全体的にふわっとしたのびやかさを感じませんか?
かえって体が垂直ではなく、少し斜めに傾斜しているほうがバランスが取れていいと思います。
妙に脚を高く上げスキているような気が。
これは、もしかしてシルビー・ギエムのシックス・オクロックのポーズが
世の中に定着したせいかもしれません。
シルビーはフランス・バレエ界の至宝といわれるくらい
すごいバレリーナなのです。(まだ現役? リタイアしたのかな?)
パリ・オペラ座では史上初の19歳でエトワールの座を獲得した、とか
いろいろと伝説がある人です。
わたくしも本当にこの方が好きで、
よく東京バレエ団といっしょに来日して、ベジャール作品を踊っておられました。
じゃ、ベジャールだったら、モダン一辺倒なの?と訊かれれば決してそういうわけでもなく、
古典も実に端正に踊る方です。
わたくしは、あらすじや形式やマイムが一切ないモダンをシルビーが踊るのをみて、
まさに彼女は音楽そのものだ、と思ったものでした。
当時、この方しかできないワザというのがありまして
それが、このシックスオクロックです。
つま先で立ちながら、脚をほぼ垂直に揚げるという技です。
これは当時、保守的なフランスバレエ界では、賛否両論ありまして、
こんなアクロバティックでサーカスまがいのポーズは下品だ、と。
しかし、実際、このポースを涼しい顔をしていともやすやすとやられちゃうと、
胸がすっとすくような思いを見ている側はするわけですよね。それも感動のひとつかと。