本気で愛したものが敗者  ~ランジェ公爵夫人~ [読書&映画]

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さてさて。

お外で撮った写真もあるんですけど、画素数が高すぎてそのままここには

載せられないですねvvvv

・・・・というのに、フォトショップはどこへ行った~

たぶん長女がガメているのでしょう・・・・・帰ってきたら返してもらわないと。

というわけで今日も読書&映画の紹介しますね。

映画自体はそう古いものではなく、ここ2、3年ぐらいのものだった

ような気がします。NHKのBSでもこの間、やっていたようです。

皆様の中でもごらんになった方いらっしゃるかもしれないですね。

ただ、あの映画は映像的に美しい、モンリヴォー伯爵扮する、

今は亡きギヨーム・ドパルデューの

ほんとに惚れ惚れ見とれるような軍服とか。

ギヨームはかの有名な大俳優ジェラール・ドパルデューの息子ですが

フランス的でありながら、堂々とした偉丈夫で、「ああ、こんなスタイルのハンサムもいるんだな」

と実感させてくれる俳優さんでしたが、バイク事故でなくなっています。

まだ30代後半でした。悔やまれる死ですね。とてもセクシーで、なぜ恋のつわもののはずの

ランジェ公爵夫人がこの男におぼれていくのかが、視覚的に納得できます。

また、この時代特有のアンピール様式でしょか?公爵夫人のドレスがなかなか粋で

興味深いですね。

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ただ、バルザックの作風っていうのが映像にしにくいシロモノなんだそうで。

ところどころ、解説のようにナレーターの声が入りまくるのってどうよ?みたいな

ワタクシ的にはイマイチな映画でございましたわ。

・・・・・ということで原作を読むことをこの場合、強くお奨めするものでございますわよ。

さて,本題。

以前、やっぱりフランス小説でラクロが原作の「危険な関係」を紹介しましたけど

この「ランジェ公爵夫人」もこれはこれで、ホンット面白いのよ。

ただ~、気をつけなければならないのがバルザックの文体。

この人、エネルギッシュな作家さんだったそうで、まるでマグマが噴火するみたいに

作品を書きまくったひとなんです。

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で、横道にそれちゃうと、それちゃったきりでそのままズズズーと突き進んでいくものだから

途中で何を読んでいるかわからなくなってくるんですね。

それでも、まさに箴言といっていいほどの述懐があったりして、それはそれで深遠だなぁ・・・

と思うんですけどね。

19世紀のパリ。このころの上流の人々はロココ時代の人々とは

また、ちょっとティストの違うすれっからしばっかりでした。

ロココ時代の人々は、それでも「自分たちは貴族」という矜持があったので

「武士はくわねど高楊枝」っぽいところもあったんですが、

このころは、エセ貴族も横行し、世の中カネカネカネ・・・・でございました。

現代のバブルのころの日本とよく似ておりますわね。

つまり、革命当時のフランスは、本当に立派な貴族の人が多く、

機会があったら逃げ出せることもできたにもかかわらず、

従容として立派にギロチンにかかる人が男女を問わず、とても多かったそうです。

水戸部稲造の「武士道とは死ぬことと見つけたり」を地でいっているようなかんじですね。

そういった本物の中の本物がいなくなったあと、地位で金で買ったエセ貴族とかが

いたり・・・・そんな時代ですよ。

パリの社交界でも一二を争う名花として名高い

ランジェ公爵夫人ことアントワネットは、ある日社交界に面白い男が現れたことを耳に挟んだ。

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モンリヴォー伯爵。

戦争では英雄だが、社交界における恋愛には不慣れな伯爵は

アントワネットにいいように遊ばれてしまう。しかも、思わせぶりなことをいうくせに

絶対にカラダの関係にはなれないのだ。

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じれにじれた伯爵はある日、強行突破してアントワネットに会いに行くが、

やはり、アントワネットという城は難攻不落だった・・・・。

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そうやって、アントワネットはモンリヴォーをいたぶっているうちに

モンリヴォーはそのころ巷にはやっていた自分の所属していた秘密結社の仲間に頼んで

舞踏会帰りのアントワネットを誘拐して、

「わたしのものにならないのなら、額に焼き鏝をあてて二度と外にでられないようにしてやる」

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と脅す。しかし敵もさるもの。ちっともあわてずさわがず

「あら、どうぞ。焼き鏝を額にお当てになって。そうすればあなたの愛のしるしを死ぬまで見ていることができるわ」

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と開き直る。

そこでモンリヴォーは、なんとなく腰砕けになって誘拐したアントワネットを解放してやる・・・・・。

んん~、しかしここからが面白いんですね。

それから・・・・モンリヴォーはまったくアントワネットを無視。

アントワネットは、かえってこんなことをされるとモンリヴォーが気になってしょうがない。

恋文を書きに書きに書きまくる。

しかし、モンリヴォーからはなしのつぶて・・・・。ああ~

思い余ったアントワネットがモンリヴォーのところに押しかけると

モンリヴォーは留守。制する執事を押しのけてモンリヴォーの寝室へ入ると、

机の上に封も着られていない自分の書いた手紙の山が積み上げてあった・・・・。

ああ、なんてこと!!!!

アントワネットは自分が負けたことを悟った。

恋愛ゲームは本気になっちゃった人が負けです。

そして、ここが面白いんですが、アントワネットは実際恋愛ゲームは得意なんですが、

本当の意味で不倫をしたことがないんです。

おまけに、十五やそこらで修道院を出てすぐに結婚をしたわけだから、

これまた、本当の意味で、男性に恋をしたわけじゃない。

さらわれたとき、アントワネットって本当の意味でもモンリヴォーの

男性的な「力」みたいなものを見せ付けられ、怖がりもしたのだけど、

魅せられてもいたんですね。内なる官能に目覚めたわけです、モンリヴォーによって。

だけど、アントワネットはそういった制御不能の感情に自分自身が

振り回されることに恐怖を感じたんですね。

この男と一緒にいると、そのうち自分が貴族として

そうとう醜態をさらすことになるんじゃないかと。

さすがに、アントワネットははっきりとそれを劇中で自覚していたわけじゃなさそうですが。

・・・・・・・・・

男女の関係は不思議だ・・・。

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アントワネットは血の涙を流しながら、

「わたくしは●●のところで午後8時まで、あなたをお待ちしています。

 もし、そのときにお会いできなかったら、わたくしはこの世を捨てるつもりでおります」

モンリヴォーは、またアントワネット一流の手紙だ、と思い

その時間を友人宅ですごすのだが、なんとなく気になって約束の場所へ行くと

すでに遅し・・・・。

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アントワネットは修道会へ入ってしまった・・・。

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で、話は終わらないのです。

アントワネットは規則が厳しくて有名な修道会へはいったらしく、

行方は家ものはもちろん、モンリヴォーもまったくわからなかったが、

上のほうの高位の聖職者に働きかけて、どこにいるのか突き止める。

そして、モンリヴォーとアントワネットは?

というところですが。

あとは御本を読んで楽しんでくださいまし。

はじめはアントワネットのちゃらんぽらん、としたところが妙に癇に障るのに対し、

モンリヴォーがハチ公みたいでイライラするのですが、

後半、モンリヴォーが軍人特有のクールさ、貴族としてのプライドを取り戻し、

アントワネットをきりきり舞いさせるので、スカッとしますが、

だんだんアントワネットが哀れになってきます。

だって、アントワネットはやはり女性ですから、本当は誰か、すてきな男性に

心のそこから身も心も愛してもらいたいのです。

まだ23歳と若い身空で、この世を捨てた公爵夫人に同情してしまいます。

外側からみたら、華々しい社交界も実は寒々しいところなのかな、と

読みながら感じてしまいました。

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sadafusa

>月乃さま niceありがとうございます

by sadafusa (2012-02-28 17:01) 

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