シャンデリアのきらめく光と人々の喧騒に酔いしれて ~La Valse~ [芸術]
きのうは、ラヴェルの「夜のガスパール」でしたが、
ここでもうひとつ、わたくしの「超」お気に入りをご紹介させていただきます。
それは「ラ・ヴァルス」ですね。
なんともゴージャスといいましょうか、
作られたのは1875年ということですから、
バブリーで金ぴかのフランス第二帝政はその終焉を迎えていたとはいえ、
その余韻を世の中の空気に漂わせていたわけであります。
Rachmaninov: Suite No. 2, Op. 17; Ravel: La Valse; Lutoslawski: Paganini Variations
- アーティスト: Sergey Rachmaninov,Maurice Ravel,Witold Lutoslawski,Martha Argerich,Nelson Freire
- 出版社/メーカー: Philips
- 発売日: 2007/08/14
- メディア: CD
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今日はそのラヴェルのワルツの中で超オススメの一枚、
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ピアノ界のスーパー・スター、マルタ・アリゲリッチと
ブラジルの燦然と輝く星、ネルソン・フェレイレのデュオ版をご紹介します。
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もともと「ラ・ヴァルス」はオーケストレーションのものが大半なんではないかなと思います。
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わたくしも実は、アンドレ・プレヴィンのオーケストラのものを最初に聞いていて、
それでまず、好きになりましたね。
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オーケストレーションですと、当然いろんな楽器が集約されて音を作っていきますので
カラフルですし、重厚にもなりますね。
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そうすると、結果としてテンポが遅くなるんです。
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しかも、なんとなくピアノだけに比べると多彩な分だけ輪郭がぼやけるような気がします。
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そこへいくと、このピアノ版はもう、駆け抜けるような疾走感があり、
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ピアノの音のきらめきがシャンデリアにさがったクリスタルの乱反射している輝きに思えたり、
その光を受けて、さらに踊りながらキラキラと光る、
女性のティアラだとか、イヤリングだとか、チョーカーだとか
または、夜会服の衣擦れの音、扇を広げながらくすくす笑いに混じる
社交界の人々のうわさ、あるいは恋の駆け引き・・・・・
そんなものを連想しちゃうんですね。
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女性はぐっと胸を開けた色とりどりのローブデコルテ、
一方の男性のほうは、19世紀らしくぐっと抑えたストイックな黒と白の燕尾服ですね。
そういう、もはやロココ的な舞踏会ではない、19世紀的な斬新さ、19世紀的美意識みたいなものが
この曲の中に詰め込まれているような気がします。
はじめはひっそりとはじまるこの曲は、
だんだんと踊りに夢中になる男女の心の高揚感もあり、
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それが、バルルームにいる全員に伝播していき、
一組のカップルがくるくると回りながらも、
最後は全員が大きな渦となってうねっているような、
そんなダイナミックさも感じてしまう、そんな曲です。
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しかも、ラヴェル独特のマッドでデモニーッシュな部分も感じられる。
そこがまた、たまらない魅力です。
ピアノで演奏するとその所がより顕著に表れるような気がします。
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もともとピアノってとても19世紀的な楽器だったんですよ。
ピアノって実はそんなに歴史が古いものじゃなかったんです。
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今でこそ、ピアノはスタインウエイだ、ヤマハだ、カワイだっていうけど、
昔は、プレイエルっていうフランスのピアノ屋さんが
音を残すペダルっていうのを改良したから、
ロマン派から今日までとうとうと続くピアノの傑作が生まれているわけで、
モーツァルトの時代は当然ピアノではなく、ハープシコードなわけです。
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ですので、ピアノってすごい発明だったんですよ。
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わたくしは、このふたりのデュオを実は生で聞いているんです。
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本当に本当にすばらしい時間でした。
美しさのみを凝縮した魔法の瞬間だったといえるかもしれない。
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そんな感動ばかりで胸がいっぱいになるときなんて
人生にそうそうあるわけじゃないですものね。
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CDで再現されていつでも聞くことができるからいいじゃん、と
思われるなかれ。
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CDは、ある事実の側面であって「真実」じゃないです。
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実際聞いた、あのピアノのまろみのあるキラキラした音じゃないです。
CDの音はデジタル、絶対にどこか損なわれているものがあるんです。
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本当にすばらしかった。
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だれか、またすごい大物がこの曲弾いてくれないかなぁ。
そしたら、絶対に大金はたいてもいく、と思う。
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たとえば、ラン・ランとキーシンでとか?
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大物すぎて無理だわね☆
2012-04-06 10:27
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コメント(2)
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ラン・ランとキーシンですか何と贅沢な…
by でん子 (2012-04-06 14:29)
>月乃さま nice ありがとうございます。
>でん子さま ね?夢の共演でしょう?
でも、きっとギャラが高すぎるわね・・・・。
それにきっとデュオできるようなタイプでもなさそうだしな・・・・。
by sadafusa (2012-04-06 23:01)