La vie aventureuse de D'artagnan ~ダルタニャン物語 ⑤ 人物紹介 ポルトス~ [シリーズで考える深い考察]
さて、いい加減うんざりしてこられた方もいらっしゃるかもしれませんが、
まだまだ続く、ダルタニャン物語。
今日はポルトスですね~
ポルトスってなんでポルトスなんだろ?
デュマはやっぱり、ガスコーニュ出身でトレヴィル隊長の知り合いであるアイザック・ポルトーという人を
モデルにしたとかどうとか・・・。よくわかりません。
でも、ポルトスも源氏名でありまして、本名はデュ・ヴァロンといいます。
ポルトスも元はといえば、ダルタニャンと同じような小貴族の、次男か三男なんでしょうね。
ポルトスってキャラクター的に、ちょっと頭が足りないコミカルな人物だと軽んじられるキライがありますが、
どうしてどうして、決してそんなことはない、と断言しましょう。
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もともと「友情」というのは、二者間でもいいですし、まあ彼らの場合四者間でもありますが、
お互いの実力が伯仲していなければ絶対に成立しないものなのです。
まして、そこに「優越感」とか「劣等感」などの感情が入り込むと絶対にその友情は壊れてしまいます。
ですから、ダルタニャンやアラミスはともかく、
正しい人アトスとも生涯その友情が途切れることがなかったのですから
ポルトスはやはりなにか、その中にキラリと光るものをもっていたのです。
ポルトスはあだ名を「フランスのヘラクレス」といいまして、
怪力無双の巨人です。
で、ちょっと前の映画「仮面の男」ではジャラール・ドパルデューが演じていましたが
あの人は日本でいうところの「西田敏行さん」みたいな方なのではないかと・・・・。
まあ、豪傑も演じるけれど、美男とは程遠いのでは?
そうです、ポルトスは原作にもはっきり書いてありますけど、
ガタイのいい美男子なんですよ!
ポルトスは身長2メートルにも届こうか、というほどの長身です。
ですから、今回映画ではポルトスをレイ・スティーブンソンが演じておられましたが、
片耳ピアスでなかなか雰囲気があってピッタリと思いました。
この映画はほとんどが「ありえない~!」っていうほど時代考証もあらすじもめちゃくちゃですが、
やはりどこか三銃士の原作のエッセンスだけは残してあるのですよ。99パーセント嘘でも、残りの1パーセントが
本物だったら、それなりにリアリティがでるというか。
そういう意味で、この映画のキャラクター設定というか配役は原作をよく考慮して作ってあるなぁと
思ったものです。
まぁ、スタイルがいいので、おしゃれさんなわけです。
でも、根が庶民っぽいからアラミスやアトスのような、洗練されたというか渋くて凝ったおしゃれはキライなのですね。
で、ハデ~でキラキラしたものがスキ。
女性関係も、ある未亡人と結婚しましたが、その未亡人がなくなった後はやもめ暮らし。
ある意味、ダルタニャンとアトスはその「狡猾さ」とか「抜け目のなさ」みたいなもので
結託できるのですが、アトスとポルトスは馬鹿がつくほど「正直」で「お人よし」なところが
似ているのですね~。
でも、どういうわけか、ダルタニャンとアラミス、アトスとポルトスという組み方はしないで
たいてい、ダルタニャンとアトス、アラミスとポルトスというふうに分かれるのが面白いですね。
たぶん、ダルタニャンとアラミスは一緒にいるとお互い、言葉のはしばしのニュアンスで
相手が何を考えているかを推し量り合い、いつも腹の探り合いになってしまって、
油断ならなかったからなのでしょう 笑
未亡人が莫大な財産を遺してくれたので、アトスやアラミスも驚くほどのお金持ちになるのですが、
本人いわく、「男爵になりた~い」
これも、アラミスのような恐ろしい野望じゃなくて、純粋に「エライ人になりたいな」
ぐらいのかわいいものなのですね。
全く憎めない人です。
アラミスやダルタニャンはそういうポルトスのかわいい望みにかこつけて
なにかと甘言をいってだまくらかして、悪の片棒を担がせたりもするのですが、
ポルトスは友が「謀略」に加担させているなんて一度も考えても見ないんですね。
「あいつらアタマがいいから、任せておけばいいさ」みたいな。
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そういうのを、ポルトスの欠点だとして彼を軽んじたりするようですが、
でも、本当にそうなんだろうか、と読みながら思うのです。
ポルトスの天性の美質とは「類まれな善良さ」のひとことに尽きると思いますね。
あるいは「無邪気」といいましょうか・・・・。
うう~ん、いい言葉が浮かびませんねぇ~。
そうね、彼はいつまでも「子供のようにイノセント」な人なのです。
そりゃ、ダルタニャンの頭の回転の速さ、アトスの貴族的勇敢さ、アラミスの奸智に長けた策略のうまさ、
どれをとっても素晴らしいのですが、
ポルトスはどこまでも優しくて寛大な人なのです。
たしかにポルトスは「大男総身に知恵が回りかね」みたいなところもあって、
難しいことはわからない、で済ませちゃう人です。
でも、一度その人を「信用に足る男」と信じたら、ずっと信じる男なのです。
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アラミスは自分の野望のため、ポルトスをそうとは知らせず、国王のすり替えをやらせます。
アラミスはこの計画は絶対に成功するという自信があったので、ポルトスには迷惑が及ばないと
考えたのでしょうが、「これを手伝ったら男爵になれるぞ」とそそのかしたのでした。
しかし、計画が失敗し、自分だけ逃亡しようかどうしようかと一瞬迷うのですが、
「置き去りにして、ポルトスが自分が何にも知らないでアラミスのいう通りにしたと自供しても
国王はそれを本当だとも思わないだろうし、知らなくてやったとしても反逆者として処刑されてしまうだろう。
ポルトスは逃げるということを知らない男だし、仕方がない」
で、ともに逃亡するのです。ポルトスは最初から最後まで????状態。
でも、あるとき自分の足がふらついて立っているのも覚束なくなる。
「これは・・・・・ぼくが最期のときだという前兆かもしれない。
じいさんもおやじも死ぬときはこんなふうに足が萎えていたんだよ」
と不吉なことをいう。
そしてとうとうフーケの領地に作ったベルイールの要塞にたどり着き、もうすぐ脱出成功と思ったとき、
崩れ落ちそうな洞窟の中で、やはり全く足が動かなくなり
「早く来い!ポルトス!」と絶叫しているアラミスに
「どうも最期のときがきたようだ。さよならアラミス」
といって崩れる岩盤の下敷きとなってしまいました。
そして、かれは従容として自分の運命に従っていったのです。
こういうところがポルトスの男らしさというか、すごい勇気ですよね。
散り際がまことに見事。
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死後、アトスとダルタニャンは、ポルトスが作成しておいた遺言書に目を通すと、
広大な領地すべてを、自分の息子のように可愛がっていたアトスの一粒種、ラウルに残すと
したためてありました。
結局、ポルトスという人は、現世における栄達欲とか出世欲などというところから
もっとも縁遠い人で、何よりも友情を大事にした人であるのです。
アトスも人格的に立派ですが、それは育ってきた環境やら、教育のような後天的なものが多少含まれるのに対し、
ポルトスの優しさ、寛大さというのは生まれながらのもので、
とてもシンプルで純粋で、そしてとても崇高なものです。
ポルトスの心はさながらキラキラ輝くダイヤモンドのよう。
ダルタニャン、アトス、アラミスは
誰よりも死にそうにもない、屈強な男の突然の死に衝撃を抑えることができませんでした。
味わい深い男たちですね。sadafusaさんの愛情もこまやかです。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-05-05 22:10)
>ため息の午後さま nice ありがとうございます。
>月夜のうずのしゅげさま
nice & コメントありがとうございます。
スキなものでつい、熱く語ってしまいした!
by sadafusa (2012-05-05 23:02)
>月乃さま niceありがとうございます!
by sadafusa (2012-05-07 00:48)