La vie aventureuse de D'artagnan  ~ダルタニャン物語  ⑥ 人物紹介 ミラディ~ [シリーズで考える深い考察]

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昨日、大河ドラマの「平清盛」を見ていましたけど、

前にも書いたと思いますが、松田優作の忘れ形見、翔平君が最近、

ヤバイほどおとうさんにそっくりになってきた!

ちょっと前までは、姿かたちが優しげで、「あ、やっぱりお母さんの血が濃いんだな」

というか、両親の血が上手にブレンドされてイイカンジと思っていました。

けど、あの人、なんだか風情は優しげなのに、目が殺気を孕んでいる。

怖いです。で、なにかをした瞬間の表情がもう、お父さんがこの世に戻ってきたみたいで、

生き写しですよ、なんだか急に精悍になったような気もするし・・・・。

サテ、雅仁親王はマサカの大穴で後白河天皇となりました・・・・どうなっていくのか。

こういうことをツラツラ考えていると、義朝の子供の頼朝の命乞いをした池禅尼はアマかった。

小さいときはコロコロしてて可愛くても大人になったらどんな脅威になるか。

自分はだんだんと年老いてくるのに、昔、自分が殺した男が地獄の底から蘇ったように、

若武者の姿で自分に迫ってくるのは悪夢を見ているようで怖いだろう。

ということで、平家物語の維盛が息子、六代御前も文覚上人に命乞いをされたにもかかわらず

情けをかけられなかったということは、源氏は

「後生畏るべし」ということを身に染みてわかっていたからです。

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あ、ミレディの話をするはずだったのに・・・・スミマセン。

今日はミレディです。

ミレディって名前だろうと思われるけど、たぶん英語のmi-ladyから来ていると思うの。

(my lady の崩れたカタチ)男はミロードですね。

でも、ここではミレディじゃなくて、あえてフランス語読みでミラディと読んでみたいと思います。

ミラディはじゃ、イギリス人なの?

ある意味、イギリス人なのかも。イギリス人と結婚していたからねぇ。

ミラディ・ド・ウインター、

ほかにもアンヌ・ド・ブリュイ、シャルロット・バクソン、ミレディー・クラリックなどなど

たくさんの偽名があるけど、本当の名前はわからない。

原作では、ブリリアントな金髪の美女だけど、奸智に長けてすごく残酷ってことになってます。

全然、同情の余地なし、ってところ?

いつもは女にアマく、一度はミラディと同衾したこともあるダルタニャンでさえ、

あまりにミラディがクルーエルなので、処刑することもやむを得ないとしている・・・・・。

なんたって、大好きだったコンスタンスちゃんがミラディに殺されちゃったんだもん!

ということなのですが・・・・。

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わたくし、これはね、原作読んでいて思ったけど、ミラディという人物の描き方、マズいよ。

確かに、女性でも「変質者」はいるでしょう・・・・。快楽殺人をするような人ね。

でも、いやしくもあのリシュリューの密偵だったんですのよ。

で、男達を描くのはあんなに達者だったデュマさんもイマイチ女性は得意じゃなかったのか

これじゃ、あまりにあまりでございますわ。ステレオ・タイプすぎる。

だいたいね、

そんな国家の工作員にそんなアブナい女を使うはずがないでしょう?

ということで、わたくしは一応原作を読まれた後はこっちのサイドストーリーを

読まれることをお勧めします。

新・三銃士―ダルタニャンとミラディ (少年編) (講談社文庫 (ふ48-5))

新・三銃士―ダルタニャンとミラディ (少年編) (講談社文庫 (ふ48-5))

  • 作者: 藤本 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/05/15
  • メディア: 文庫



新・三銃士 青年編―ダルタニャンとミラディ (講談社文庫 ふ 48-6)

新・三銃士 青年編―ダルタニャンとミラディ (講談社文庫 ふ 48-6)

  • 作者: 藤本 ひとみ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/05/15
  • メディア: 文庫


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これね~、ほとんど話の進行は原作と一緒。ただ、主人公は「ダルタニャンとミラディ」なわけです。

で、不思議なのがアトスとミラディの関係よ。

なんでって、アトスってね、そりゃ~大貴族なのよ。

日本でいえば、どっかの藩の大名みたいなお殿様なの。

そんなお殿様が、なんでミレディの姿かたちだけにホレて、周りのご家来衆のいうことも聞かないで

結婚しちゃったのかなぁ~って思うの。

で、わたくし思うんですけど、アトスって女の免疫が全くないんですよね、たぶん。

ダルタニャンやアラミスみたいにテキトーに女遊びしておけばこんなことにはならなかったのに・・・・。

ホラ、「酒は呑んでも呑まれるな」っていうでしょ。女もそう。

女にゃ惚れても、溺れるな・・・デス。

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アトスは免疫がないぶん、女性っていうものにそうとう「アコガレ」をもって「聖母マリア」のような

尊敬と愛情をささげたい、と思っていたんじゃないかなぁ~。アトスならありえそう・・・。

で、当時、16歳だったミラディをこれまた20ぐらいのアトスが見初めちゃった。

アトスって「美しいものに罪があるわけがない」などという、これまたカトリック的なものの見方を

していたんでしょう・・・・。

だけど、こういうのも、今日的には「自分勝手でひとりよがりな愛」よね。

聖母みたいな役割を押し付けられる女のほうがたまんないっていうの。

で、あんまり調べもせずに、結婚したと。バッカだなぁ~。

で、本当のミラディはそんな聖母のような清らかで穢れないオトメではなかった・・・・とこういうことです。

ここまでは原作と一緒。

でもね、ミラディだって言い分があるのよ、きいてちょうだいよ!っていうのが

この藤本ひとみ版のサイド・ストーリーですね。

たしかに、ミラディは生まれは貴族でもないし、むしろ貧しい暮らしをしていて

幼いころからその日その日暮らしを強いられていて、どうにかしてこの苦境から逃れたい、と

考えていた少女だったのです。

腕の百合の刻印も罪びとだから烙印を押されたのでなく、

当時一緒に住んでいた男が、自分から逃れられないようにするため、むりやりミラディに

つけたものだったんです。

で、あるときラ・フェール伯爵の若様がミラディを見初めて、「結婚してくれ」と。

「お妾じゃなくて伯爵夫人ですか~」

そのときのミラディは、まぎれもなくホンマもんの白馬の王子の登場に身も心もフワフワと・・・

しあわせに酔いしれたことでしょう・・・・。

ですが、ある朝、若様は傍らで眠っていた新妻の雪のような柔肌に、

百合の烙印を見つけて仰天してしまう。

いつも用心していただろうに、きっと気が緩んだんでしょうね・・・。

「お、奥! これはなんじゃ?」

「と、殿。申し訳ございませぬ。お許しくださいませ。ですが、これには深いわけが・・・」

「たばかりおって!うむむ、許せぬ!そこになおれ!成敗いたす!」

・・・・これじゃまるで時代劇ですけど、まぁこういう風に、問答無用で首を絞められたわけですよ。

で、アトスはミラディは自分が手をかけて殺した、と思っていたらしいけど、

実はその後息を吹き返して、その場から逃れたんですね~。

ミラディは憎みました、アトスを。アトスは自分のうわべばっかりみて、ミラディの心を愛そうとしなかった。

ミラディを理解しようとしなかった・・・・・。

男ってものは・・・。復讐してやりたい・・・・。

そこへ、通りかかったのが宰相リシュリューですね。

「ほう、美しい髪をしておるな、その金髪本物か?よくみれば容貌も整っておる」

リシュリューはしばらくミラディと会話してみて、この女は頭の回転もいい、使えると思った。

そこでミラディは宰相の密偵として雇われることになったのです。

ですが、この宰相、別に部下思いでも何でもありません。密偵なんてものは危なくなってきて

生かしておけなくなったら即、何かの罪状を付けて処刑されるのがふつうだったので、

ミラディには失敗は許されない。

いつもいつも、計算に計算を重ね、実はドジでトンマなロシュフォールを出し抜き、

宰相には忠実でありつつ、最後の持ち駒というか切り札は常に用意しておくというこの用心深さ、

用意周到さ、読んでいてミラディ苦労してんなぁ~と涙、涙です。

リシュリューは、スペインからヨメに来た王妃アンヌ・ドートリッシュが

いつまでもルイ13世の子供を産まないので返品したいと思っている。

そこで、イギリスのバッキンガムを炊きつけて不倫させ、それを世間に発覚させたら

結婚は無効になるしな、と思っている。ので、これをなんとか成功させるためミラディにあれこれ

画策させる。

ここら辺は面白いのでぜひ、本書を読んでみてくださいネ。

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でも、ミラディより一回り賢いダルタニャンによって、ミラディの計画もすべてが水の泡。

最後、殺したくはなかったのだけれど、コンスタンスに自分の正体がばれてあえなく毒殺に至る。

そして四銃士につかまって、首切り役人に引き渡されてしまう・・・・。

でも、これじゃあまりにミラディがかわいそう・・・・。

実は藤本さんはそんなミラディに粋な計らいをしてあげるのです。

ミラディの処刑は四銃士が夜、遠目で見ていただけなので、しかと処刑を確かめたわけじゃないのです。

ダルタニャンはわかっていたんです。ミラディの悲しみや切なさが。

密偵が失敗したとき、宰相からどんな報復があるかも。

密偵としてのミラディは死にました。が・・・・

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その後、ダルタニャンは密かに美しい年上の女と同棲しているという噂が・・・。

ほかの三人が「どんな女だ?」と水を向けても

ダルタニャンは「いやぁ~」と照れるばかりで、決して口を割ろうとしませんでした。が、

その女はダルタニャンの子供を宿して出産するときに、赤子もろとも死んでしまいました。

ダルタニャンはたいそう悲しんだけれど、女は束の間だけど幸せを味わったに違いないのです・・・。

女の名はいわなくたってわかりますよね?エヘ


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sadafusa

>月乃さま niceありがとうございます!
by sadafusa (2012-05-08 22:10) 

月夜のうずのしゅげ

ミラディの最後は幸せだったらしいですね。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-05-12 19:19) 

sadafusa

>月夜のうずのしゅげさま nice & コメントいつもありがとうございます!

原作はミラディ、超かわいそう&理不尽な終わり方ですけど、
ミラディだってシアワセにならなくっちゃ!
by sadafusa (2012-05-12 20:10) 

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