ウッディ・アレンの Midnight in paris [読書&映画]
先日、小粋でおしゃれな映画を見てまいりました。
タイトルは「ミッドナイト・イン・パリ」です。
ウッディ・アレンの最近の映画はだいたい見てますが、
たいていは、いまどきのアメリカ人が主人公です。
そして舞台はアメリカでなくヨーロッパです。
ちょっと前みた「それでも恋するバルセロナ」もタイトルのとおり、
スペインが舞台でした。
アメリカ的なものの見方しかできない主人公か
アメリカ的な価値観に窒息しかけている主人公が異国で、異文化に触れて
自分というものを見直してみる、みたいなお話が多いです。
オハナシも面白いですが、ロケーションにも大変気を遣っているようで、
さながら、主人公と一緒に旅に出かけたような気分になります♡
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さて、今回はパリが舞台。
主人公のギルは売れに売れている脚本家。
才能はあるので、売れっ子で今やビバリー・ヒルズにプールつきの豪邸まで買えちゃうほど。
いわばギルはアメリカン・ドリームの体現者なのですね。
でも、彼は売れてはいるけれど、「面白かったぁ~」で後はさっぱり忘れされてしまう
脚本家の仕事に不満を感じているのです。
人々の心に感銘を受ける文を書いてみたい・・・・。
それがギルのひそかな願い。
そして、脚本家には美人でお嬢様のフィアンセ、イネズの存在が。
このフィアンセがなんていうんですかね~、
いかにもアメリカのソープオペラのヒロインって感じの人で
なんか石鹸か歯磨きのコマーシャルに出てきそうな人。
モネの庭で有名なジベルニーの池のほとりでラブラブなふたり。
しかし、このあと二人の仲には徐々に亀裂が走っていくのです・・・・。
リッチ&ゴージャスなんだけど、なんていうのかなぁ。ヨーロッパ的な陰影が全くない人なんですよ。
イネズは徹頭徹尾、物質主義者。
タマシイとかココロなんてものはさほど重要じゃないのですよね。
だからギルの夢を非現実的な馬鹿らしいものとして、実は軽蔑しているんです・・・・。
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でも、ギルは自分もいつか、ヘミングウェイみたいな素晴らしい小説を書くことができたなら、と
パリの空の下で考えていた。
ギルは、1920年代が大好き。憧れているんです。
そんなギルは、あるとき道に迷い、歩き疲れて階段に腰を下ろしながら教会の12時を告げる
鐘の音を聞いていると・・・・・。
とつぜん、めちゃめちゃクラシックな車が通りかかる。
「へ~、パリだったらこんな博物館に展示してあるような車でも走っているんだなぁ~」
などとぼやっと感心していたら、中からこれまた、イマドキではないクラッシックなスーツの男性と
クラッシックでレトロなドレスの女性が手招きする。
「さあさあ、乗って、乗って!」
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ギルはなんかヘンだな~、妙だな~と思っているのですが、
やっと自分の身に何が起こっているのかわかりました。
実は、自分のあこがれていた1920年代のパリにタイムスリップしていることを!!!
「華麗なるギャツビー」スコット&ゼルダ・フィッツジェラルド夫妻。
最初、このふたりが車で通りかかってギルを1920年代へ
誘い入れてくれたのだった。
自分の大事な大事な小説を、あのあこがれの、ヘミングウェイに、ガートルード・スタインに読んでもらえて
しかも、批評までしてもらえる!!!!
ああ、な~んてシアワセ。
と有頂天になっているうちに、リアルタイムではじょじょに何かが狂っていきます・・・・。
あんなに好きだったフィアンセもなんだかどうでもよくなってきちゃいます。
それもそのはず、1920年の世界では、今まで憧れていたどこかアンニュイな表情がたまらない
クラシックな美女のアドリアナが自分にほほえみかけてきたのでした・・・・。ところが・・・・
1920年代のストンとしたフラッパーなドレスがピタリと決まっている
クラシックな美女、アドリアナと恋に落ちるが・・・・。
実は彼女は1890年代の「ベル・エポック」時代のファン。
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この映画、基本的にコメディです。
めっちゃめちゃ笑えます。
劇場で見ていたのですが、観客の皆さんは一体となって笑い転げておられました。
その笑いというのは、いわゆる「エスプリ」といいましょうか「ユーモア」の類に属するものなので
可笑しいけど、とても知的な笑いかな。
主人公とそのフィアンセはパリにきて最初はラブラブだったんだけど、
フィアンセイネズの旧友とそのフィアンセ
(ややこしいですね。つまりギルとイネズのカップルともう一つのカップルがであったのです)
がまた、なんていうかアメリカ人のインテリによくありがちな鼻持ちならないスノッブ臭プンプンの
いやみな男なんです。
とある一流レストランでフィアンセの旧友と出会う。
実はイネズのトモダチの彼氏のポールは、イネズが昔アコガレた男だったのです・・・・。
その人がまたいい味だしてるっていうか・・・。
いつでもどこでもウンチク垂れ流し男、ポール。
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で、タイムスリップすることによって、憧れの面々と会うこともでき、
自分の作品を批評してもらい、リライトしたものをまた書いてという作業を繰り返し、
主人公はついにスタインにもヘミングウェイにも納得してもらえるような作品を書き終えることができたのでした。
ヘミングウェイにスタイン。
このふたりの励ましのおかげでギルの小説はすばらしいものになっていく。
キャシー・ベイツって可愛いですよね。太目なだけでこの人実は美人なんだな、っていつも思います。
しかし、作品を読んで、ヘミングウェイはあることを主人公に示唆します。
スルドイ!ヘミングウェイ。
なぜそこに気が付かなかったのか・・・・・。
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過去にタイムスリップすることで、主人公はある真実に気づかされます。
そして遅ればせながら、現世に生きるということは、つまり現世の便利さを一度知ってしまったものは
過去に戻りがたいものだ、ということを身に沁みて知る事件が起こるのです。
パリ滞在中に自分と趣味があう小粋なパリジェンヌと知り合いに。
新たな恋の予感が・・・。
とてもおしゃれな映画ですし、なんといっても超おもしろかったです。
ここではイチイチあげられませんが、ウッディ・アレンはディティールにこだわるひとなのです。
ちょっとした伏線もとってもおしゃれ!です。
興味のある人はぜひ!!!!!
おすすめですよ~~
もう一度ストーリーをたどることができました。そうです。一昨日見て来ました。ほんわかしてもどってまいりました。
by 月夜のうずのしゅげ (2012-06-03 20:21)
>ため息の午後さま niceありがとうございます!
>月夜のうずのしゅげさま nice & コメントありがとうございます。
しゅげさまもご覧になったのですね。ね、ほんわかする映画ですよね。
あの、レコード屋さんのおねえちゃん、可愛いけど、ミッション・イッポッシブルでは女アサシネーターですっごく怖かったです。
by sadafusa (2012-06-04 19:27)