La vie aventureuse de D'artagnan  ~ダルタニャン物語  ⑨ 人物紹介 ルイ14世~    [シリーズで考える深い考察]

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さて、この回で「ダルタニャン物語」シリーズは終了にさせていただきます。

では、おおトリは誰かといえば、

この方しかいらっしゃらないでしょう~。

ジャ~ン、ルイ14世で~す!!

ルイ14世っていえば、絶対王政の絶頂に立った王様として

ヴェルサイユ宮殿を立てた人としてとてもとても有名ですね。

でも、この方、よくわからない人でもあるんですよね~。

彼はルイ13世とその后であるアンヌ・ドートリッシュの子であり、

二人の間には23年間も子供が授からなかったことから、

ルイ13世は、息子が生まれたときうれしさのあまり、

彼のことを「ルイ・デュードネ」(Louis-Dieudonné)、つまり「神の賜物」と名付けたといわれています。

まあねぇ、お世継ぎが生まれる、生まれないっていうのは

その国の死活問題になりますので、そりゃありがたかったでしょうよ。

でも、13世が本心から喜んで「ルイ・デュードネ」と名付けたのかというと、

少しだけ疑問も残るんですよね。この場合。

といいますのも、フランスにおいては、デュードネという名前自体がちょっと

怪しいんでございまして、裏の意味は「私生児」という意味もあるんですのよ。

だって、私生児っていうのは、愛といいましょうか、パッションの賜物でしょうが・・・。

それはすなわち、神の恩寵なわけでございまして^^;

20年以上も夫婦の間に子供ができなかったのに、いまさら~?って感じで

ルイ13世は、「もしかしたら自分の子供じゃないのかもな」と十分に疑っていて

それでもって、皮肉をもってこう名付けたんじゃないか?とも考えられているわけです。

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何回でも、くどく言いますがヨーロッパの王室というのは、王妃の産んだ長男こそが

王太子たる資格があるわけ。

いくら王様の子供であっても、愛人の腹から生まれた子供であれば

いくら賢くて、美しくて、才能があっても王様のお世継ぎにはなれない、ということです。

たとえば、スペイン・ハプスブルグ家のフェリペ4世などは

お妃と王様の血が濃すぎて、子供が弱くて育たたない。

なぜ叔父と姪という、禁忌も犯してまで再婚したのか?

そして、頼みのフェリペ・プロスペロが死んだあと、近親婚の当然の結果ともいべきほとんどハクチといってよい

王子、カルロス二世が王太子になったのはなぜなのかを考えてみてください。

そうまでしても、王家というのはブルー・ブラッドつまり、支配者の出自というものを

固執するものなのです・・・・。

(ついにはカルロス二世の代でスペイン・ハプスブル家は潰えたのですよ)

フェリペ四世は艶福家で愛人の間には何十人もの子供があったにもかかわらず!です。

その中には、健康で賢い子供がもちろんいたことでしょう。

また、イギリスのヘンリー八世が、何度も何度も王妃をとっかえひっかえしたのは、

あの王様が色情狂とかそんな低レベルの問題から、そうしたわけではないのです。

そんなことなら、たくさん愛人をはべらせておけばいいだけのことなのです。

どうしても、彼には正式な后から生まれた王太子が必要だったのです。

そのためには、彼はバチカンを向こうに回して、自らイギリス国教会の首長にもなったのですね。

(とかいって、結局彼は王太子には恵まれなかったのですが・・・)

もちろん、ヴァチカンやフランスやイタリアなどのカトリックの国は

ヘンリーとイギリスの低い身分の貴族の娘との野合のような結婚などは

当然、無効だとして認めませんでしたけれども。

(エリザベス女王はあくまでもヘンリーの私生児だ、という意見も当時からありました)

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その反対に、あってはならないことですが、王妃が産んだ子供であれば、

その父親は誰なのか?を問うことはできないのですよ、絶対に。

あってはならないことですから。父親は王以外にはいないのです。

告発する人などいません・・・・・恐ろしすぎて。

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ルイ14世の父親がもしかしたら、マザランだったかもしれない・・・・な~んていうのは

DNA鑑定でもしない限りは歴史の闇に沈んでしまった憶測ですが、

アンヌ・ドートリッシュは美女で有名で、しかも尻軽女でも有名だったんです、当時から。

だから、「三銃士」のお話の中でもバッキンガム公こと、ジョージ・ヴィリヤーズと浮名を流したり、

それはそれは、大変だったそうです。

ルイ13世はこういったストレスからハゲてしまって、鬘をつけていたことが、

のち、ファッションとしての鬘着用に広まるわけですが・・・・。

マザランはイタリア男で、ちょっとバッキンガム公似のいい男だったそうです。

こういった、さまざまな憶測をもとに再構築したお話がこちらですね!

またしても、佐藤賢一センセイのご登場です!!!

二人のガスコン〈上〉 (講談社文庫)

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二人のガスコン〈下〉 (講談社文庫)

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ここに出てくるダルタニャンは、佐藤センセイがそうとう惚れぬいたのか、

30歳ぐらいで、そ~と~にかっこよくて美化され(すぎ)てますね 笑

わたくし、デュマの本の中にはダルタニャンは「美男子である」とは一言も書いてなかったように

記憶してますが、この本は「美男子、美男子」のオンパレード。

連発しすぎるのが佐藤センセイの悪い癖だと思いますが、ちょっと読んでいてくどいほどです 爆!!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この本はタイトルが「二人のガスコン」とあるとおり、

ひとりはいわれるまでもなく、ダルタニャンが主人公ですが

もうひとりはな~んとシラノ・ド・ベルジュラックなんですよ~。

何でも、ガスコーニュにはベルジュラックという地名のつく場所があるんだそうです。

でも!というところがミソです。(詳しくは本書を読むべし)

この話も、よ~~く考えて作ってあって面白い。

もちろんルイ14世の鉄仮面伝説というのも出てきますが、

それはもう人口に膾炙しすぎている、とセンセイはお考えになったのか

かる~くスルーされて、

ええ?っという、そしていかにも「佐藤節」が効いている結末でございました。

この話、世継ぎは王妃の腹からしか生まれない、ってことをアタマに入れて読むと

なるほど!とうなずいてもらえるものと思っております。

鉄仮面伝説についても言及したいキモチいっぱいなんですが、

長くなりすぎますので、この辺で。

みなさま、どうもありがと~ございましたぁ~。


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でん子

毎回楽しかったです[るんるん]今度は何の連載か?待ってます[exclamation×2]
by でん子 (2012-06-24 09:50) 

sadafusa

>月乃さま
>ぼんぼちぼちぼちさま
>青竹さま
>ため息の午後さま
>月夜のうずのしゅげさま
>nikiさま


 nice ありがとうございます!!



>でん子さま

  ありがとう、面白かったといってくれるのがなによりです。
  次の連載?
  う~~ん、まだ考えてないです。
  でも、好きなことはいろいろあるんで、
  じっくり考えていきますね。
by sadafusa (2012-06-25 14:08) 

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